あぁ、遅刻決定だ。 きっと、夏希は間に合ってるんだろうけど。 「悠斗ー!」 悠斗(ゆうと)って……森谷先輩の名前。 それにこの声、全校朝礼で聞いたことある。 そのきれいな声の主は教室がある校舎とは反対の、特別棟の方からやってくる。 「智美!おまっ……具合悪くないのか?」 森谷先輩がパッと彼女の方を見ると、心配そうに眉を下げた。 智美って……峰岸先輩だ。 あの、生徒会の副会長。 うん、とうなづく峰岸先輩の黒髪がサラリと揺れる。