「……なんで、そんなこと言うの」 何も言ってないのに。 まさか、全部知ってるとかーーー……。 「俺と同じだから」 「えっ?」 「……俺の大切な人と、同じ目をしてる」 さっきまで笑っていた棚部くんが、悲しそうにそう言って窓の外を見た。 棚部くんには大切な人がいるけど、でもその人には忘れられない人がいる。 つまりはーーーそういうこと。 なのに棚部くんは、さっきみたいに普通に笑うことができている。 なんて、強い人なんだろう。