青久が電話を切って、嫌な空気があたしたちを包む。 …………あたしが、なんとかしなきゃ。 青久は優しいから遠慮してしまう。 「おとさんって、どんな字書くの?」 「……えっ?ああ……音だよ。音楽の」 「へえ〜綺麗な名前だね」 こんなことが言いたいわけじゃない。 背中を押したいわけでもない。 でも。 「早く、行ってあげなよ」 「え?」 「音さんが待ってるんでしょう?」 あたしがこう言うしかないんだ。