「わたし、月本さちっていうの」 あたしが月本さんのことを知らなかったこと、気づいてたのかな。 月本さちちゃんはそう、改めて挨拶してくれた。 「あ、あたしは……」 「逢沢はるちゃん。はるちゃんって呼ぶね」 え、なにこの天使は。 これは男の子がほっとかないだろうな。わかる。 「ーーあ、もう授業始まるから席戻るね」 そんなことを考えていたら、そう言って月本さんは手を振って自分の席に戻っていった。