【完】斜め前と、ちっぽけな涙。

バンッ!!!




「たくと…くん…!」





病室へつくと、そこには涙を流したもかの家族がいた。





「あの………もかは……」





息を整えながら、そう言うと、もかのお母さんは、「こっちよ」と言い、俺を中に入れてくれた。




もか………………






「意識が戻らないの。ずっと目を覚まさなくて……たくとくん、側にいてあげて」





「でも………」





今、側にいてあげるのは、俺じゃない。





お母さん達が、いてあげないと……





「もかね。毎日『たくとは?』って言ってたの。本当にたくとくんが大好きみたいでね。だから、せめて側にいてあげてほしいの」





もかが、毎日俺を………?





そう考えた途端、涙が溢れた。





ちっぽけな涙なんかじゃない。





俺の溢れる涙が、もかの頬に落ちた。





「………た、く……と?」







……………え?