【完】斜め前と、ちっぽけな涙。

「最後に、花火見たいなー…」



「はいはい、行くぞ」




そう言って、あたしの手に力を入れた。


気づけば、今までずっと手繋いでたんだな。



急に恥ずかしくなってきた。



ドッカーン!



大きな音を立てた花火が、綺麗に舞い上がる。



「綺麗ー……」



「興奮して鼻膨らんでる」



ちょっ…!?このムードの中、そんなこと普通言う!?



「し、失礼なっ!」



あたしは手で鼻を隠した。



「はは、嘘に決まってんじゃん」



「ええ!?…む、むかつくーっ!結構傷ついたのにー!」



「そんなに?ごめんな」



うぅ…



素直に謝んないでよ…




「許してあげる!」



「はいはい、単純…」



「なんだとーっ!?」



綺麗な花火が上がる中、あたし達は、



ギャーギャーと騒いで、周りの人に冷ややかな目で見られていることに気付き、即座に帰ることにした。