そして次の瞬間、空李君の腕に抱きしめられているのだということを理解した。


な、なに……!?


男の子と手をつないだのだって小学校の低学年が最後のあたし。


頭の中はあっという間に真っ白だ。


空李君のお菓子のような甘い香りが鼻をくすぐる。


「このハグはお礼のしるしね?」


スッと離れた空李君がそう言い、クスッと笑う。


「じゃぁね、未玲お姉ちゃん! ヒヨコ、大切にする!」


そう言って出ていく空李君の背中を呆然として見送ったのだった。