頭ではそう理解しているけれど、なかなか体が動かない。


海都の部屋に行って、昨日と同じようにノックすればいいだけなのに……。


あたしは机の上に置いてある縁結びのお守りを手に取った。


修学旅行に行ったときに買ったものだ。


「こんなの、買うんじゃなかったかなぁ……」


あの時はあたしの頭の中は海都で一杯だった。


陸真さんからの告白なんて予想もしていなかった。


そして、あたしたちが兄妹だと思い知らされるということも……。


お守りをジッと見つめて、はち切れそうな想いを胸の奥へと押し込める。


「あたしは、海都を兄妹としてちゃんと見る」


あたしは、自分自身にそう言い聞かせた。