苦手な計算に頭をひねりながらも、なんとか1問目の答えを導き出す。


「正解。やればできるじゃねぇか」


海都はそう言い、あたしの頭を撫でた。


あたしはホッとしたのもつかの間、その手の感覚にまたドキドキしてしまう。


「次の問題。これも同じ公式に当てはめるだけだ」


「う、うん」


ドキドキを悟られないようにあたしはグッと教科書に顔を近づけ、海都の方を見ないようにする。


「おい、お前目が悪くなるぞ」


その時、海都がそう言いあたしの肩をグッと後ろへと引っ張った。


えっ……。


いきなり引っ張られたあたしは、そのまま海都の方へとバランスを崩してしまう。