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海都の部屋の前まで来て、あたしは立ち止まった。


手には数学の教科書とノート。


あとはドアをノックをして試験範囲を聞くだけなのだけれど……。


あたしはそこで躊躇していた。


ドアの前に手を伸ばして引っ込める。


それを何度も繰り返しているのだ。


どうしよう……。


気まずいし、やっぱり明日学校で万結に聞こうかな。


そう思い、体の向きを変えようとした時だった。


タイミングよくドアが開き、海都が出てきたのだ。


「なに、なんか用?」