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それから数日後、朝のホームルームが終わった教室内で万結が焦ったように教科書とノートにかじりついているのが目に入った。


「万結、勉強しているの?」


そう聞くと万結は「そうだよぉ。最近、授業中に未玲とおしゃべりばっかりしてたから大変だよ」と、苦笑いをした。


あたしは『大変』の意味がわからなくて首をかしげる。


「万結。なにが大変なの?」


素直にそう尋ねると、万結は「未玲ったら余裕なんだからぁ」と、あたしの机をシャプペンシルでトントンと叩いた。


それでもあたしはわけがわからず、キョトンとした表情を万結へ向ける。


「未玲本当にわかってないの?」