最初から、あたしがその間に入る余地なんてなかったんだ。


たとえこの感情を《恋》と呼んだとしたって、それは相手に通じることがない想い。


あたしはとめどなく溢れてくる涙を止める事が出来なくて、うつ伏せになって枕に顔をうずめた。


部屋にノック音が響いても返事することなく、ただただ嗚咽をかみ殺す。


今は誰にも会いたくない。


何も食べたくない。


まるで自分の人生のすべてを失ってしまったかのような、喪失感に包まれている。


「未玲ちゃん、入るよ?」


陸真さんのそんな声が聞こえてきても、あたしは返事をしなかった。


勝手にドアを開けてこちらへ近づいてくる足音がする。