「……ねぇ海都、1つ聞きたいんだけど」


「あぁ。なんだよ?」


あたしは一旦言葉を切って呼吸を繰り返し、自分を落着かせた。


「……海都が、彼女を作らないのは……」


ザァ……と、風があたしたちの間に吹き抜けて行った。


「幼いころ海岸で出会った……あの少女……つまり、あたしの事が忘れられないから?」


声が震えた。


なんでかわからないけれど、怖かった。


「ねぇ海都……『みーちゃん』って……あたしのこと?」


そう聞くと海都は少し目を見開いて……だけど、なにも答えてはくれなかったのだった。