《怪黄》のたまり場は屋敷なら20分ほどバイクを走らせた場所にある、ボロイアパートだった。


「今日、他のメンバーは?」


海都のバイクの後ろ下りながらそう聞くと、「今日は俺たち4人だけ。このアパートには《怪黄》の幹部クラスの人間しかいないから、俺たちだけで十分だ」と、陸真さんが答えた。


そうなんだ……。


屋敷30人で乗り込んできた事を思えば、こっちだって大人数で乗り込んで行けばいいと思う。


でも、《鬼龍》はそこまで卑怯なことはしないみたいだ。


「お前はこれを持ってろ」


海都がそう言い、落ちていた木片をあたしの手に握らせた。


「え、武器使うの?」


「あぁ。今日の相手は《ホワイトタイガー》じゃないからな。お前を人質に取る可能性もある」