「前に他のチームと乱闘があって勝った時も、今日みたいな騒ぎになったんだ」


「そうなんだ……」


「いつまでも暇な連中だ」


海都はそう言い、フンッと鼻をならした。


2人で学校裏へまわり、その灰色の塀を見上げた。


高さは2メートルくらいありそうだ。


「こんなの、こえられるの?」


そう聞くと、「ちょっと待ってろ」と言い、海都は塀にの上部へと手を伸ばした。


両手を塀にかけるとその腕力だけでスイッと体を持ち上げて、簡単に塀の向こう側へと姿を消してしまった。


「うそ、すごい……」


あたしはどう頑張っても塀の上には手が届かない。