裏切りや乱闘なんてなくて、毎日《鬼龍》を出迎えてキャァキャァ騒ぐ子もいない。


そんな、普通の日常がすごく恋しく感じた。


前の学校の友達の顔が浮かんでは消えていく。


毎日当たり前に過ごしていたけれど、今ならそのありがたさがよくわかる。


「万結……信じてたのに……」


そう呟き寝がえりを打った時、海都がベッドのすぐ横に座っていることに気がついて飛び起きた。


「海都、なんでここにいるのよ!?」


「ノックはした。でも返事がなかったから勝手に入っただけだ」


「返事してないのに勝手に入ってこないでよ!!」


もう!!


と、あたしは枕を海都に投げつけた。