「俺たちの親父と、その弟である伯父さんが《鬼龍》をやってたときのバイクなんだ」


ジッと2台のバイクを見つめるあたしに、陸真さんがそう説明してくれた。


そうなんだ……。


だからこんなに汚れてるんだ。


数々の場面に出会ってきた2台のバイク。


陸真さんが赤いバイクにまたがり、あたしにヘルメットを差し出してきた。


「乗りなよ未玲ちゃん」


「あ……」


『はい』そう答えてヘルメットを受け取ろうとした時だった、海都があたしの手を引っ張った。


「え?」


そのままグイッと引っ張られて、海都の方へとよろめく。