頭の中ではこの後ここで大変なことが怒ってしまうと、理解している。


けれど、あたしの体は咄嗟には動かなかった。


……怖い。


その思いが、あたしの足をずっしりと重たくさせていた。


「だ、誰か……助けを……」


そう思い、右足を一歩後ろへ引いた時だった。


高校生の1人が中学生へ向かって拳を突き出した。


殴られる!!


あたしは思わず目をつむっていた。


しかし……一向に肌を打つ音が聞こえてこなくて、あたしはそっと目をあけた。


すると、なんとあの中学生の子が高校生の拳を片手で抑え込んでいたのだ。


うそ……!!