その日、あたしはトレーニングをかねて少し遠回りをして家に帰ることにした。


無理のない一定のスピードで走っていると、次第に体がほてり始める。


じわじわと背中に汗が流れ息が上がり始めたころ、前方に公園が見えた。


あの公園で少し休もうかな。


そう思い、歩調を緩める。


ぐるりと遠回りをして走ってきたけれど、家まであと少しの距離だ。


「ふぅ……さすがに疲れたなぁ」


頬に流れる汗をハンカチでぬぐいながら公園に入った瞬間、男の怒号が聞こえてきてあたしはピタッと足を止めた。


見ると、公園の中央あたりで数人の男子生徒たちが誰かを取り囲んでいるのがわかった。


あれって、隣の高校の制服……だよね?