陸真さんの女好きには本当に困っちゃう。


あたしは速足で屋敷へと戻ってきていた。


「おい、顔が赤いけど大丈夫か?」


ラセン階段の途中で海都とすれ違い、そう聞かれた。


あたしは自分の頬に手をやり、「だ、大丈夫だよ!」と答えて、慌てて自室へと入る。


運動したせいもあるけど、これはきっと陸真さんのせいだ。


ご褒美だとか、あたしがその気になればとか、心が乱れるような事を言うから……!


あたしは洗面所の冷たい水で顔を洗った。


そして、ジッと鏡の中の自分の顔を見る。


どこにでもいる、平凡な女子高生。


特別可愛くもなないし、陸真さんに好かれる要素なんて持っていない。