あたしは耳をふさいでしまおうかと思った、その時。


グイッと腕を引っ張られて、あたしは立ち止まった。


「なに?」


そう聞きながら振り返る。


「お前、どこまで行く気だよ。家、ここだぞ?」


と、海都が怪訝そうな目をしてあたしを見た。


あ……。


海都から逃げるように歩いていたから、門を通り過ぎたことに気がつかなかった。


あたしはフッと肩の力を抜く。


『みーちゃん』のこと、そんなに気にしてどうするの。


あたしは別に海都のこと好きじゃないんだから……。