☆☆☆

その夜、お風呂にゆっくりつかったものの海都の表情がちらついてなかなか眠ることができずにいた。


ベッドの中で寝がえりを繰り返し、ヒヨコの目覚まし時計があった場所をジッと見つめる。


あのヒヨコの鳴き声は、いつも空李君の部屋から聞こえてきている。


音量を最大に設定しなおしたらしいけれど、それでも空李君はまだ1人じゃ起きれないみたいだ。


ずっと一緒にいたヒヨコが近くにいないのが、今日は少し寂しく感じられた。


あたしはそっとベッドの抜け出し、廊下へ出た。


もう、寝ちゃったかな?


廊下の一番奥にある部屋のドアが、空李君の部屋だ。


あたしはそこまで行って、立ち止まった。


今日だけヒヨコ貸して?