「おい、どうした? 顔赤いぞ?」


そう言う海都の手があたしに伸びてくる。


その手が額に触れそうになる瞬間、あたしは海都の手を払っていた。


パチンッと肌を打つ音が響く。


「あ……ごめっ……」


そんなに、冷たくするつもりじゃなかった。


でも、海都の笑顔があまりにも魅力的で、つい……。


「もう、いい」


「あっ……」


引き留める暇もなかった。


海都はいつもの冷たい表情に戻り、食材を置いて出て行ってしまったのだった。