予想外の申し出に、あたしは一瞬キョトンとしてしまう。


「家庭の味っていうやつ、作りたいんだろ?」


「う……うん……」


「どうりで、今日はシェフが来るのが遅いと思った」


「ご、ごめんなさい……」


みんなに黙ってシェフを断ってしまった。


「でもまぁ、桜さんの作る弁当すげぇうまいし。お前も料理得意なんだろ?」


そう言って、海都が笑顔を浮かべる。


うわ……!!


海都のこんな笑顔は初めて見たかもしれない。


心臓がドクンッと跳ねて、まともに顔を見ることができない。