洋裁学校を出ているという事は、過去にそう職業を目指していたのかもしれない。


その証拠に、ママは生き生きとしていて目が輝いている。


「ママ夢が叶ったんだね」


「そう……そうね。制覇さんのおかげで……」


そう言い、ママはミシンを撫でた。


どこにでもある一般的なミシンだ。


きっと制覇さんはもっと高級なものをママにあげたかったんじゃないかな?


生地だって、安物じゃなくて高級なものをあげたかったかもしれない。


でも、それはママの夢じゃなかったんだ。


安い生地でいいものを作って、誰でも買うことのできる素敵な服を作ること。


それが、ママの夢だったんじゃないかな?