午後からの授業はノートを取っていても、身に入らなかった。


気がつけば一番前の席の海都の背中を見ている。


そして、『俺、ずっと好きな子がいるんだ』という言葉を思い出した。


これじゃまるであたしが海都に恋しているみたいだ。


あたしは強く頭をふり、黒板に集中する。


赤薔薇高校は前の学校よりも授業が進んでいるからぼーっとしている暇なんてないんだ。


自分にそう言い聞かせ、あたしはシャーペンを握りなおしたのだった。