あんな、優しくておおらかな人が暴走族チームを作っただなんて!


「元々あの街は大きな不良チーム2つが争い合っていた。


喧嘩となれば周囲を巻き込み、一般人にケガをさせる。


無茶苦茶な連中だったんだ。


そこで、親父が自分のチームを作った。その両チームの間に割って入り、無茶な喧嘩を抑制するためだった。


だけど、鬼龍はその1つのチームに潰されてしまったんだ。


夜中に鬼龍の集会所に乗り込んできてね、その時親父は不在でメンバー達は打つ手もなかった」


「そう……なんですか……」


影になり陸真さんの表情がわからない。


けれどその口調はどこか寂しそうで、あたしは言葉をつづけられなかった。


「それから月日は流れ親父は死んだお袋と結婚して、俺たち3人が生まれた。


そこで、親父は俺たちに《鬼龍》の再生を求めたんだ。


名前も、陸海空のすべてを制覇するようにと付けられた」