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数十台のバイクが海沿いの道を走る。


潮風が体を包み込む。


ヘルメットの中にも、磯の香りが入り込んできた。


バイクが走り始めてすぐの時は怖くてギュッと目を閉じていたけれど、今は目を開けて景色を楽しむ余裕があった。


猛スピードで走るのは民家の少ない峠だけで、今はそれほどスピードも出ていなかった。


信号も極力守るようにしているし、《鬼龍》の走行会は想像よりもずっと安全だ。


それでも、数十台のバイクが時速制限を破って走行していると、さすがにパトカーの音が聞こえてきた。


「ね、ねぇ、パトカーだよ!!」


後ろから聞こえてきたパトカーの追跡音に、ヒヤリとする。