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七夕さんの家はあたしの住んでいた街から車で2時間ほど走ったところにある、閑静な住宅街だった。


立ち並ぶ家のどれもが大きく、レンガ作りだったり、バラのアーチがしてあったりと、オシャレな外観をしている。


まるで映画の中に迷い込んでしまったようだ。


「ここが七夕さんの家よ」


「ここが……」


大きな茶色い門の前でお母さんが車を止めた。


その家は見上げていると首が痛くなるほど大きくて、あたしは唖然としてしまった。