彼は・・・むごすぎる現実から逃れたくて、夢を見た。

叶わない恋さえ叶うような幻を見た。



自分でない相手を愛している人さえ、腕の中に抱ける、と。





そういう夢を見させるのだ。

あのナタリーという少女は。




憎らしい、でも・・・限りなく愛おしい私の親友は。







頭がおかしくなるくらいたくさんの仲間を失って、とロルフが呟く。




「目の前で殺されて・・・それでも生きる意味って何なんだろうな」





この苦しみを背負って生きなきゃなんないのか?



苦しすぎる生を全うしなければならないのか?



ロルフの苦しい息づかいがそう問いかける。




答えのない問いかけだ。

答えはあるのかもしれないけど、私には分からない。