リュール王国の首都は、ディントの首都とも、チェサートの都市とも違う、独特の雰囲気を持った街だった。
煙突が立ち並ぶ街並みは、いかにも工業都市という趣で、この世界に来て初めて、悠里は近代的な設備を目にすることとなった。
工業都市にふさわしく、民家はあまりなく、工場で働く人たちの住む団地が多い。
それも石造りではなく、鉄筋を使って造られているようだった。
この国は本当に、鉄の恩恵で成り立っているのだ。
「凄いですね~」
悠里はディントでは目にすることのなかった高層建築に目を奪われていた。
「これはちょっとレベルが違うっていうか……」
この国を目の当たりにする機会の多い、ウリエルや彼の父である外務卿が、自分の国に危機感を覚えるのも頷ける。
「何とか話を付けたいものだがな」
ウリエルも馬車の窓の外に目をやりながら、ぼそりと呟いた。
かのセントフォール帝国の皇帝が、喉から手が出る程欲しがっているのに、なかなかそう出来ない国だ。
余程強気の人間がいるのか、それとも皇帝でさえ手を出せない何かがあるのか。
(いい機会だから、探ってみるか……)
いつもの外交官としてではなく、私的な訪問。
今回はかなり自由が利く立場だった。
いつもは入り込めない場所にも行くことが出来たら。
ディントにとっても有益な旅になるだろう。
ウリエルがこれからの傾向と対策を練っている間、悠里はただひたすら窓の外の景色を楽しんでいた。
煙突が立ち並ぶ街並みは、いかにも工業都市という趣で、この世界に来て初めて、悠里は近代的な設備を目にすることとなった。
工業都市にふさわしく、民家はあまりなく、工場で働く人たちの住む団地が多い。
それも石造りではなく、鉄筋を使って造られているようだった。
この国は本当に、鉄の恩恵で成り立っているのだ。
「凄いですね~」
悠里はディントでは目にすることのなかった高層建築に目を奪われていた。
「これはちょっとレベルが違うっていうか……」
この国を目の当たりにする機会の多い、ウリエルや彼の父である外務卿が、自分の国に危機感を覚えるのも頷ける。
「何とか話を付けたいものだがな」
ウリエルも馬車の窓の外に目をやりながら、ぼそりと呟いた。
かのセントフォール帝国の皇帝が、喉から手が出る程欲しがっているのに、なかなかそう出来ない国だ。
余程強気の人間がいるのか、それとも皇帝でさえ手を出せない何かがあるのか。
(いい機会だから、探ってみるか……)
いつもの外交官としてではなく、私的な訪問。
今回はかなり自由が利く立場だった。
いつもは入り込めない場所にも行くことが出来たら。
ディントにとっても有益な旅になるだろう。
ウリエルがこれからの傾向と対策を練っている間、悠里はただひたすら窓の外の景色を楽しんでいた。


