異世界で家庭菜園やってみた

「な?」

「え?え、ええ……。そうですね。私の早とちり、だったのですね」

ようやくウリエルを見るアシュラムの目が柔らかくなった。

「よく考えれば分かることなのに、つい……。見苦しく問い正すような真似をしてしまいました」

心底ほっとしている様子のアシュラムに、また少しいらっとしたが、ウリエルは何でもないことだと言うように手をひらひら振って見せた。

「何か、ユーリに用があるんだろ?俺はあっちで待ってるから、話すといい」

再びアシュラムの視線が悠里に移った。

そして、まだ壁際で固まっている悠里に微笑みかけた。

その微笑みに、深い感情が秘められていることに気付いて、ウリエルの胸がきゅっと苦しくなる。

気付かなくてもいいことに気付いて、その上彼らを二人切りにさせたくないと思いながら、余裕ぶって悠里の隣を明け渡す。

(俺も素直じゃないな……)

ただ無様な姿を見せたくないだけなのか。

自分でもよく分からないまま、ウリエルはアシュラムを促した。

アシュラムがゆっくり悠里に近付いて行く。

そんな彼を止めたくなるのを、ウリエルはぎゅっと両の拳を握って耐えていた。

アシュラムが悠里の前に立つ。

そして二言三言、言葉を交わした。

それから二人が連れ立って歩き出す。

ウリエルは見ないようにしながら、そんな二人の様子を気配で探っていた。

「ウリエルさん。待ってて下さいね」

顔を背けていたウリエルに、悠里が声を掛けた。

「待ってて」と。

それだけの言葉に、胸が弾む。

「ああ。待ってる」

もう自分が後戻り出来ない所まで来ていることを感じながら、ウリエルは頷いた。