異世界で家庭菜園やってみた

小さな頭だった。

体も小さいけれど、とにかく全てが華奢でか弱い。

女の子って、こんなに儚い感じだったっけ。

これまで異性と付き合うことに関心のなかったウリエルには新鮮だった。

着飾ることと色恋にしか興味を示さない貴族の娘には、全くと言っていいほど心動かされなかった。

言い寄られたことは何度もある。

だが、彼女らに何の魅力も感じなかった。

上っ面だけの、底の浅い女たち。

だが、この子は違う。

生きてきた環境が違うのだから当然といえば当然だが、感情が豊かで、表情がくるくる変わる。

一緒にいて、とても楽しい。

次は何を言うんだろう。次はどんな表情を見せるだろう。

片時も目を離したくなかった。

一緒にいたい。

自然にそう思った。

(守るから一緒にいてやるって言っておいて、実は俺が、この子と一緒にいたいんだ……)

兄と呼ばれることに拒否反応を示したのも。

彼女と対等な立場にいたいからだ。

(そうか。俺は……)

胸に顔をうずめる少女に視線を落とす。

少し震えているのは、泣いているから?

そう思った途端、ウリエルは悠里を抱きしめたい衝動に駆られた。

片手で頭を撫でるだけでは足りない。

両の腕で、彼女を抱きしめたい。

そんな衝動に自分自身驚きながら、ウリエルは持って行き場のない感情を抑えるのに苦心した。

(だが、まだ早い……)

悠里はウリエルに心を許したばかりだ。

一足飛びに、何の行程も経ないで自分の感情を押し付ければ、悠里はその心に殻を被せてしまうだろう。

そんなことはさせられない。

彼女らしく、朗らかでいてほしい。

だから、ウリエルは悠里の頭を撫で続けた。

とりあえず今は、彼女が身を預けてくれている。

それだけで十分だと思いながら。