私のお人形

「黙れっ!!!」


この世のものとは思えないまるで地鳴りのような声が沸きあがった。


「ユリに何がわかる。おまえに私の気持ちがわかるもんか」


銀色の刃は宙を切り裂き、ざくりと床に突き刺さった。

怖いという気持ちを超えた混沌とした感情が私を揺り動かしていた。


「私をだまして私の魂を盗もうとしてるくせに。人形が人間になってどうするつもりなのよ!!」


再び刃が振り上げられた。

それと同時に右肩に激しい痛みが突き抜けた。

刃は私の肩先をかすり、鮮血が飛び散る。


「私だって人間のままでいたかったんだ。それなのにそれなのに…」


狂気に歪んでいたセーラの顔が一瞬静寂を取り戻したかのように見えた。



「私が人間になることがどうして悪いんだ。どうして邪魔されなくちゃいけないんだ」