私のお人形

「そう言って時間を稼ごうとしてるのか」

セーラはそうつぶやくと私の喉元に手をかけた。

「どうせ、私死ぬんでしょ」

「?」

セーラの指先が一瞬緩んだ。

「ママが倒れてしまったし、私を助けてくれる人はもういない。私はただの子供だもの。セーラにかなうわけない」

銀色の刃だけが冷たく輝いている。

まるでこの空間すべてを冷やし固めるように。

「結局チャックが言ってたことがみんな本当だったんでしょ。はじめから悪魔はチャックじゃなくてセーラ」

私の喉から発せられる声は不自然に反響する。

そのたびに凍りついたこの空間が揺れる。