家に帰ると、ママは部屋中の鍵を念入りに確認した。

一つでも見落としていたらセーラが入ってくるかもしれない。

そう考えたのだろう。



でも、ママ。

セーラは鍵が閉まっていたって関係ないの。

どんなことをしたってやってくるのだから。



さすがにママには言えなかった。

むやみに怖がらせるだけだわ。



「ママ…」

私はママのベッドにもぐりこむ。

そしてママの胸の中に顔をうずめる。

「ユリちゃん、大丈夫よ。ママがついているわ」

ママの匂い。

甘くてやさしい匂い。

この匂いに包まれていたら、不思議と落ち着いていられる。



セーラはすぐそこに来ているかもしれないのに。