私のお人形

――ガチャッ。

玄関のドアが開いた。

「ただいま~」

ママの穏やかな声。



しかし、一足リビングに足を踏み入れた途端、その声は絶叫に変わった。



「きゃああぁぁぁぁぁ!!!」



ママは目を見開き、リビングのドアのところに立ち尽くしていた。

無理もない。

部屋の中は荒れ放題。

何が起こっていたのか想像もできないだろう。

「ユ、ユリちゃん!!」

そして、バッグを放り投げ、一目散に私のもとへやってくる。

「たいへん、けがしてるじゃない」

ポケットからハンカチを取り出し私の腕をきつく縛る。

そして心配そうに私の顔をのぞきこんだ。

「このまま病院に行きましょう。いいわね」