気のせいじゃない。

確かにまた音がする。

私は様子を見に行くことにした。

ベランダに面した背の高い窓にゆっくりと近づき、鍵を開ける。

そして体が通るくらいに細くあけ、そこから体を半分だけ出した。

ベランダにはエアコンの室外機、ひっくり返った植木鉢。

植木鉢をおこそうと、手をのばしたら、またコツコツと音がする。

物干し竿にかけられているハンガーが風に揺られるたびに窓に当たっていたのだ。

「なんだ」

ばかみたいに怖がっていた自分が恥ずかしくなって、私は一人照れ笑いをする。

ハンガーも取り込んで、再び窓を閉めた。