私のお人形

「じゃあさ、教えてあげる。人間に言わせれば僕はやっぱり悪魔ってことになるんだろうね。僕はね、セーラみたいな子が人間になれるように裏でいろいろ計らってあげてるの。

どうしてかって?

仮にセーラがユリちゃんの魂にとり憑いて人間になれたとする。そしたらね、セーラの魂を僕が操作できるのさ。見かけはユリちゃんだけど、中身は僕が操作できるセーラなんだもん。そうしてね、いろんなひどいことするんだ。いじめ、犯罪、親殺しとかもやってるよ。この前もニュースでやってたでしょ。小学生の男の子が両親を殺しちゃった事件。あの男の子の中身はセーラの仲間だよ。誰も知らないけどさ」



「嘘つき。人間にしてくれるって言ったのに…」



ママの車がパンクした日、突っ込んできた車に乗っていた人形のことが思い出された。

あの子もきっと、チャックにそそのかされて魂を人形の中に入れられてしまったのね。

そして、人間になろうとしていたんだ。



「僕はうそつきじゃないよ。ちゃんと人間になれるじゃない。セーラの望みがかなうんだよ。感謝してほしいよ」


そう言ってチャックは私の髪の毛をつかんだ。


「ほら、セーラ。とどめをさしてよ」