夕暮れのグラウンド。
下校していく生徒達の群れ――その中に、愛しい背中を見つけて声を掛けると、彼は煩わしそうな視線を向けてこう言った。
「またお前かよ。何度来られたって俺は――」
「いいの!・・・好きになってもらえなくても、猿人(さるひと)君と一緒にいられるこの時間が幸せだから・・・。私の宝物だよ」
精一杯の笑顔を向けるが、決して彼は笑ってくれない。
片想いなのはわかってる。
でもこの気持ちは止められない・・・。
止められないんだよ――・・・。