タツノは一度言葉を切って、息を吐いてからチキュを見つめた。





「………だから。


一人で悲しんだり、隠れて泣いたり、するなよ」





チキュは、にやりと口角を上げて、タツノを見上げた。





「あんた、見かけによらず、優しいんだな!!」




ばしんと背中を叩かれ、タツノは前のめりになる。




優しいなんて、言われたことがなかった。




なんとなく恥ずかしくて、チキュを直視できずに顔を背ける。




そんなタツノを、チキュはにこにこしながら眺めた。





「ありがと、嬉しいよ。

あんたの言葉。


…………でもさ!

オレ、悲しんでも、泣いてもないよ!!」




チキュが言い切るので、タツノは微かに目を瞠った。