チキュの身体つきはほっそりと薄く、女性らしさはまったく無かったが、ヴェールと長衣を纏うと、その滑らかな流線形の体型の美しさが際立った。





誰もが思わず惹きつけられるような美貌と、伸びやかで均整のとれた肢体が、見る者に対して、鮮烈な印象を与えていた。





しかし、皆が言葉を失う中、場違いで間抜けな声が響いた。





「………おっ、なんだ?


やっと終わったのか?」





周囲の女官たちの手が止まり、自分に視線が集まっているのに気づいて、チキュは嬉しそうに破顔した。



向けられる視線の中に含まれる憧憬や昂揚には、まったく感づかない。





「アカネ様っ!!


お美しい!!」





サヤがうっとりと手を組んで見つめるが、チキュは「そうかぁ?」と首を捻っただけだった。





「あーっっ!


肩こったぁ〜!!」





美しく粧い、純白の上品な盛装に身を包みながら、立ち上がってぶんぶんと腕を振り回す。




そのアンバランスさに、タツノは苦笑いを浮かべた。






(…………育て甲斐のある奴だなぁ)