そんなこんなで何度かの小休止を挟みつつ。



その間、部屋を駆け回るチキュをタツノや女官たちが苦笑しながら見守る中、なんとか化粧という大事業は進められた。





細く吊り上がった形の良い眉に墨を引く。


薄い瞼と艶のある頬に、薄朱を刷く。


濃い睫毛に囲まれた瞳をさらに引き立たせるように、眼尻を黒で縁取る。


ふっくらとした唇に濃紅を差す。


艶のある短い黒髪を軽く纏めて結い上げ、宝玉を散らす。



最後に、顔を覆い隠すようにヴェールをかけた。








「ーーーずいぶん見違えるな………」





予想を上回る仕上がりに、タツノは微かに息を呑んだ。





薄いヴェールを透かして見える、粧った顔に釘付けになる。





チキュの顔立ちは、目鼻立ちがはっきりとして造りは整っているものの、どこか子どもっぽいあどけなさが抜けなかった。



しかし、くっきりとした端麗な顔立ちは思った以上に化粧映えし、薄く粧いを施しただけで、かなり雰囲気が変わった。





首飾りの真紅と対象的な白い頬の無垢さが、目についた。