着付けが終わったら、今度は化粧である。




………しかしこれは、一大事だった。




少しの間もじっとしていられないチキュにとって、女官たちから化粧を施されるのは、拷問に近かったのだ。





初めに白粉を塗る。




「まぁっ、アカネ様!

なんて肌理細かくて、潤いのあるお肌!」



「本当に!

白粉の乗りがとってもよろしいです!」



「もともとお白い肌ですけど、白粉をつけるとさらに透き通るようで………」




女官たちが寄ってたかってチキュの肌を褒め称えるのだが、傍らで見ているタツノに「動くなよ」と釘を刺された当の本人は、冷や汗を垂らしながら硬直している。




しかし。






「〜〜〜だーっ!!もう無理っ!!」




白粉を塗り終わるまでは耐え切れなかったようだ。




仕方がないのでしばらく部屋の中を自由に走らせて、気持ちが収まったところでまた鏡の前に座らせた。




まるで、落ち着きのない犬か何かの小動物でも扱っているかのようである。