天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「…………大丈夫だって。


お前がそう言うだろうと思って、ちゃんと薄手の軽い生地を選んでおいたんだから。


いざ走りたくなったら、裾を纏めて上げれば問題ないから」





なだめるように言うと、チキュは「そうかぁ?」と確かめるように長い裾を摘み上げた。




たしかに邪魔になるほどでもないかと納得し、多少機嫌を直す。





「………でもさ。


最初から裾が短ければ、まとめ上げる必要もないから楽なのに!」





それでもまだ不満を漏らすので、タツノは溜息を吐いて説得にかかる。





「………あのなぁ。


天貴人の女は、足を見せたりしないんだよ。


お前のみたいに太腿から丸出しの服は、下品だって言われちゃうんだ。


だから、とにかく今日はその服を着るしかないんだよ」





言われてみれば、確かに裾の短い服を着ている女性を天宮で見たことはない。




それなら仕方ないかとチキュは暫くの辛抱を決意する。





タツノは、単純なチキュにほっとした。