天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

背けられた横顔はそれ以上訊ねても何も答えそうになかったので、タツノはチキュの腕を取った。




「おい、行くぞ。


宴の準備だ」




チキュの目に光が戻り、焦点を結び始める。




「ああ、ウタゲか。

そうだったな。


あんたの結婚祝いだろ?

急がないとな」




「……………」




「な、な、奥さんどんな人?


可愛い系? キレイ系?」




「………うーん。


まだ可愛い系かな………」




「そうか。会ってみたいなぁ。


あ、今日のウタゲに来るんだよな?」




「ああ、来るよ」




「おおっ。楽しみだなぁ」






相変わらず、巨大な勘違いをしたままであるらしい。




しかし、今さら下手に訂正して、ごねられても大変だ。




そう打算し、タツノは「うんうん」と適当に話を合わせながら、楽しげに歩き出したチキュの後を追った。