*
「………はぁっ!?
アカネがいない!?」
珍しく素っ頓狂な声で、タツノが叫んだ。
目の前には、サヤが膝をついている。
たった今、震える声を励ましながら、アカネの行方不明を告げたのだ。
タツノは図らずも大声を出してしまったことを反省し、一度気持ちを落ち着けてから、サヤに向き直って言う。
「………で、いつからいないんだ?」
「…………はい、あの。
今日の早朝から、姿を見たものは誰もおりません………」
「なに!? 朝からいないのか!」
タツノは呆れてしまった。
今はもう昼前なのだ。
てっきり、身支度もそろそろひと段落ついた頃だろうから、顔でも見に行こうかた思っていたというのに。
一体何を考えてるんだあいつは………とタツノは盛大な溜息を吐いた。



