天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

自然が恋しかった。




セカイやウチューと過ごした地国が、恋しかった。








チキュの頭には、地国の豊かな自然が鮮明に蘇っていた。





三人で暮らした家の周りには、いつも緑が溢れていた。



柔らかい芝生と、木洩れ陽の陰をつくる大きな樹。



路傍の樹にたわわに実った赤い果実。




あどけない声で鳴く春の小鳥。




白い光の中を舞う揚羽蝶。




たゆたう水面に浮かぶ木の葉。





ウチューが咥えた煙草から燻る煙を靡かせる、優しい風。



その風に舞い踊るセカイの柔らかい髪を金色に輝かせる、朝の光。