天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

チキュが捜しているのは。







ーーー自然、だった。








ここには、自然がない。





水がない。



土もない。



緑もない。



花もない。





虫もいない。



動物もいない。






陽も射さない。



流れる空気もない。





閉じられた天宮の中には、天空の島々の間を吹きすさぶ風さえも、ほとんど吹き込まなかった。






(…………あぁ。



なんにもない………ここには)







あるのは、真っ白な大理石と、燭台の火だけだった。