天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

女官たちの雑談がだんだんと盛り上がり、長引きそうなのを察知して、女官長が近づいてきた。




「あなたたち、アカネ様のことが大好きのはよく分かりました。


その愛しのアカネ様を、よりお綺麗なお姿で宴に送り出して差し上げるためにも、早くお見つけ申し上げねばいけませんよ!」




「あ、そうでした! すみません!

急いでお捜しします!!」




女官たちは笑いさざめきながら散って行った。





まったく………と呆れたようにそれを見送っている女官長の隣に、キムロがやって来た。




「女官長どの」



「あら、キムロ様」



「………あのアカネ様というお方は、どうも不思議な方ですな」



「え?」




しみじみとした口調で語るキムロに、女官長は首を傾げて訊き返した。




「衛兵たちも、何と言うか、アカネ様には頭が上がらないというか………。

見張りの兵たちは楽しく酒を飲まされて酔っ払って、まんまとしてやられたようなのです」



「あらまぁ。女官たちもそうですよ。

毒気を抜かれてしまって、見張りを仰せつかっているのも忘れてしまうようです」




二人は苦笑を浮かべながら語り合った。